わたしたちマドレボニータは、出産の前後はいくつかの段階に分かれていて、その時に必要な取り組みがあると考えています。それは大きく分けると以下の3つ。
妊娠中=産後について夫婦で学び準備する時期
産褥期=産後8週間の女性が完全休養する時期
産後2ヶ月~6ヶ月=心身のリハビリをして社会復帰の準備をする時期
でも、これを実現するのが日本ではなかなかに難しい…。
ここに至るまでには3つのステップがあるんです。
「知る」第1ステップ
産褥期は心身ともにかなり大変になり、無理をしてはいけない時期ということ。
産褥期を安静に過ごしたら「はい!今まで通り!」とはいかないこと。
筋力も体力も落ちているのだから身体のリハビリが必要だし、家族以外の大人と話す機会が減ることでコミュニケーションも今までのようにはとれなくなっているということ。
(ビックリするくらい言葉が出てこなくなっているんです!)
これを出産する女性自身と、パートナーや家族が「知り」「理解」すること。
「受け入れる」第2ステップ
「知る」ことと、それを自分事ととらえるかどうかは別ですよね。
知ったことで「そうなんだ、じゃあどうしたらいいかな」と準備を始めることもあれば
「よく聞くけど、わたしは大丈夫」と思い右から左に受け流すこともあると思います。
特に妊娠出産育児は「病気ではない」「誰もがやっていること」「できて当たり前」という風潮が根強く残っているなと感じます。
それに加えて「幸せな時だよね✨」というマインドが外にも内にもあるため「幸せなはずなのにこんなことを思っちゃいけない」という思考にも陥りやすかったりします。
「行動する」第3ステップ
知って、理解して、いざ取り組もう!と思った時…
「身軽」と言われる独身時代と違って、自分の意思だけではどうにもならないことも。自分で「取り組もう!」と思った時に周り(パートナーや家族)に理解してもらうことも必要だったり、金銭面でやりくりの必要があったり。
実はわたしも第二子の産後はここのハードルを越えることができずに産後ケア教室への参加を諦めた一人なんです。(当時はただでさえ不安定になっている長男を預けて、二男と二人で出かけることに大きな抵抗がありました。二男の産前は託児利用をしたこともあったんですけどね。)
どこにアプローチしたい?
わたしたちはどこにアプローチしていきたいんだろう…と考えました。
いわゆるマーケティングの手法として、知っても興味を示さない層にはアプローチしないということも1つ。
でもなぁ…。
本当に、「全ての家族に産後ケア」を当たり前にしたくて。
認知度を上げるには色々な方法があると思います。
メディアに取り上げられるとその時には大きな反響がありますが、年月とともにその影響は薄れていきます。特に反響のあった時に自分が「産後」と関係のない立場だったら、きっと印象にも残らない…数年後に「産後」をむかえるかもしれない人たちも。
マドレボニータの産後ケア教室に第二子、第三子の産後に参加してくださった方からは「もっと早く知りたかった!」という声を聞くことが少なくありません。
今は情報の溢れる社会だけれど、自分でも気が付いていない本当に必要なものにたどり着くのはとても難しいことだと思います。
一瞬の大きなインパクトよりも、継続して必要としている人に情報を届けていきたいという思いから、やっぱり行政、自治体と手を取り合っていきたいなと。
自治体で取り組もう!となれば、母子手帳と一緒に産後ケアの情報を手渡せる。
本当は母子手帳に「産後ケア」についてのページがあってもいいくらいだと思っています。
産後ケアプログラムのもたらすもの
マドレボニータの産後ケアは「産後うつ」「幼児虐待」「夫婦不和」を予防し、女性の社会復帰へとつながるプログラムだと自負しています。
これって、社会にとってもプラスでしかないはず。
「産後うつ」の手前には「産後うつ未満」という状態もあり、なんと7割~8割の産後女性がここにあたる…と「産後白書」では明らかになりました。
自治体は「産後うつ」の方の対応ですでにとても忙しく対応してくださっていると思います。だったらわたしたちは、「産後うつ未満」の方にアプローチして「産後うつ」になることを予防したり、「産後うつ未満」から心身ともに健康な状態へと変わるきっかけを手渡すことをもっともっとしていきたい。
2019年は少し足を伸ばして当時産後ケア教室のなかった地域の自治体へアプローチをしていましたが、今回は地元に立ち返り、近隣の自治体の扉をたたいてみようと思います。