泣いて笑って手をつなぐ

ひとりっ子三兄弟の母になる

「みんなに必要な新しい仕事」を読んで

✲出産をしたら産後ケア✲

●Rin(宮澤千尋)●
産後ケアのプロとして
出産をした女性も「わたしらしく」
のびやかに人生を歩めるようサポート ‿‿‿‿‿‿‿‿‿ꕤ。 
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✲出産してすぐ:マレー式産後ケア✲

✲産後2ヶ月から:産後ケア教室✲

 

minnnani

 

 

この本は2019年にも読み、心をわしづかみにされたのですが、産後ケア教室を開講するにあたってもう一度読み直したいなと思い手に取りました。

(もう一度と言わず、何度目かなというところですが!笑)

 

バランスボールエクササイズの誕生

排泄、授乳、黄昏泣き、夜泣き。一日中赤ちゃんの欲求に応えていると、自分のことは後回しになってしまう。そんな時、赤ちゃんを抱っこしながら、バランスボールに座って、弾んでみました。そうすると、赤ちゃんが笑った。すごく機嫌が良い。調子に乗って、ずっと弾んでいたら、すやすやと寝てしまった。あんなに苦労していた寝かしつけが、バランスボールに座って弾むだけで、寝入ってしまった。

(3 私に必要なものはみんなに必要なもの P72より引用)

 

これは、マドレボニータのファウンダーである著者、マコさんの産後のお話し。

今でこそ産後ケア教室の常識となった「バランスボールで弾めば母も赤ちゃんもご機嫌!」「バランスボールは最適な寝かしつけツール!」は、マコさんが産後の身体を快適にしたいと試行錯誤する中で自らが見出したものなんです。

そして産後の身体をしっかりと動かしてリハビリするプログラムも、この時に生まれました。

 

“産後”とつくエクササイズは増えてきましたが、赤ちゃんもご機嫌で一緒に過ごせるものというと、なかなかないのでは・・・?本当に、なんてすばらしい発見だろう!!と今でも唸ってしまいます。

 

赤ちゃんが安全に、そしてご機嫌で、母も思い切り取り組めるエクササイズって、ものすごーーーーーく貴重です。

 

20年経ってもなお・・・

当時は行政にも、民間にも、産後の女性の心身をケアするという認識はなく、当然ながらそのサービスもありませんでした。妊娠中には、妊婦健診を受けるのに公的な補助があります。全ての妊婦に健診を受ける機会が保証されている制度です。しかし、そのような社会的インフラが、産後の女性に対しては全く整備されていない。子どもが産まれた後、乳児健診、予防接種などの案内が自治体から来ますが、母体については、ほぼ皆無です。

(3 私に必要なものはみんなに必要なもの P80より引用)

 

マコさんが出産されたのは今から23年前。

 

現在、母子包括支援という取り組みが掲げられてはいるものの、とある自治体のサイトを見てみると「赤ちゃんが生まれたら」の後に来るものはこんな感じ・・・。

  • 出生届
  • 自動手当・医療費
  • 子どもの健康

 

「子どもの健康」はあるけれど、「母(産後女性)の健康」はすっぽり抜け落ちていました。

 

また、他の自治体では、「産後ケア事業」として掲げられているのがこちら。

  • 授乳指導
  • 育児相談・育児指導

 

母になった途端、自分の身体までもが子どものためのみにあるような感覚に陥るのは、“赤ちゃん”にかかる部分だけケアされて、一人の女性としてのケアはすっぽり抜けているからなんじゃないかな・・・と思います。

 

産後から社会を変える

7 産後から社会を変える

(7 産後から社会を変える P218-P246

 

第7章のタイトル「産後から社会を変える」

大げさに聞こえるでしょうか?

でも、産後が変われば家族が変わり、社会が変わります。これは絶対に。

 

以前「男性の育休」を紹介しましたが、これも産後への関わり方の一つですよね。

 

産後には本当にいろいろな変化と問題があるからこそ、取り組み甲斐があるし、取り組めばそこがレバレッジポイントとなり大きく好転していきます。

 

でもこれって、夫婦間だけの問題ではなくて、パートナーの会社も関係してくるし、子どもを育てる地域だって関係してきます。

産後を変えるためには、当事者以外の力もやっぱり必要なんです。

 

草の根的な運動から、そろそろ社会の取り組みへと本腰を変えていきませんか?と日本の政治に、自治体に話し続けていこうと思います。

現在進行形でお話をしている自治体がありますが、もし今回がダメでももう一度プレゼンを練り直して、産後ケアに取り組むことによる波及効果も伝えていきたいです。

 

「現場」と「出会い」を大切に

とことんニーズを掘り下げる。(中略)自分が作ったサービスの強みは何なのか。保健センターの母親学級とは何が違うのか。なぜ私がやらないといけないのか。それが受益者に対して、今までになかった何をもたらすのか。そういったものをちゃんと言語化して表現できるようにしていく。
(4 ひとりぼっちで始めたマドレボニータ P120より引用)
 
これはマドレボニータ創業期の話ですが、団体の認定インストラクターでありながら個人事業主でもあるわたしにとっては、常に胸に置いておきたいことだなと思い書き留めました。
 
「多くの人に届けたい」と「集客したい」は似ているようで実は違っていて。
正直、集客が伸び悩むととにもかくにも「来てもらわなきゃ」ということが目的になってしまいがちです。(やっぱり、申し込んでくださった方に複数人で関り言葉を交わす醍醐味を味わってほしい、という思いもあります。)
でも、そうなってしまうとちょっと苦しい。
 
マドレボニータの産後ケアプログラムは本当に素晴らしいものです。身体だけではなく心のリハビリにもなり、それが無理なく行われる。インストラクターが手を差し伸べたり導いたりするのではなく、参加してくださった方が自分でつかみ取っていく。それを、自己肯定感が落ちきったり、自分の人生なんてもう終わったんじゃないかなと思っている方に届けたい。
 
そして何より、1回1回の現場とご縁を大切にしたい。
その積み重ねが、多くの女性に(そしてその家族に)産後ケアを届けることにつながるはず。
 
産後ケア教室開講を前に、自分が何を大切にしたいのかを確認する時間が持てて本当によかったなと思います。
きっと何度も何度も立ち返る想いだと思うので、レッスンノートにも書いておこうと思います。
 
ーさいごにー
NPO法人の認定更新の時期にきている今、本署5章に書かれているNPO法人化の話もかなり響くものでした。これは2019年との大きな違い。団体に所属して2年ということと、理事として1年近く活動してきたことで、より関心が強くなっていました。
 
新規開講!と駆け出したら今度は認定更新へと腕まくり。
挑戦の続く新鮮な毎日です☺