一口に虐待と言っても、その背景は様々。
自らの支配欲や自己顕示欲によるもの。言葉によるもの、暴力によるもの、育児を放棄するもの…どんなものであれ許されるものではありません。
けれども、周りの関わりや手助けがあれば起こらないもの・救えるものがあります。
それはたった一人での育児に追い詰められた保護者(日本では主に母親)によるもの…産後うつ、育児ノイローゼによって正常な精神状態を保てなくなった母親によるものです。
虐待なんて信じられない
子どもを授かる前はテレビや新聞で虐待事件の報道を目にすると「信じられない…我が子に、抗う力のない子どもにそんなひどいことができるなんて…」と、ただただ信じられない思いでした。
第二子産後 -産後うつ?-
しかし、第二子の産後に長男のひどい赤ちゃん返り、慢性的寝不足、授乳によるエネルギー不足、貧血…気がつけば、耐えきれなくなって大きな声を出す自分に驚くとともに落ち込みました。
そして第二子産後9ヶ月の時…車の運転を1人でしている時…わけもなく涙が出てきて「このまま壁に突っ込めば死ねるんだな…今なら子どもたちもわたしの記憶があまりなくて平気なんじゃないかな…」とアクセルをふかしそうになりました。
思いとどまれたのはわずかに残った理性のおかげでしょうか…
それまで死にたいなんて思ったこともありませんでした。母親の記憶があまりないから…という考えが意味不明だということも今なら分かります。
自分で思っていた以上に追い詰められているんだ、このままじゃいけないと思いました。
帰宅直後夫に「この後の(家族の)おでかけについて行きたくない」と伝えました。
理由も聞かされていない夫の返した「じゃあ子どもたちと留守番しておく?」という言葉に被せるように「子どもと一緒にいたくないの‼︎‼︎」と叫んだのを覚えています。
その後車の中で感じたことを話し少し落ち着き…1人で留守番すれば良かったのに結局一緒に出かけたような気がします(^_^;
これは鬱に片足突っ込んでいるな…と思い、友人にも長い長いラインを送り、その後かけてくれた電話でたくさん話を聞いてもらいました。
第二子の時は夫と友人に話を聞いてもらい、その直後に断乳をしたことで長男の赤ちゃん返りがぱたっと終わりを迎え、わたしも睡眠時間と体力を取り戻したことによりうつ状態から抜け出すことができました。
第三子産後 -育児ノイローゼ?-
第三子産後…産後11ヶ月を過ぎた頃に自分の感情がうつうつとして子どもに対して優しい気持ちになれない…ということに危機感をもったわたしは自治体の「子育てに関する悩み相談室」にすぐさま電話をしました。
その時に電話に出てくれた方はすぐに状況を察してくださり「お子さんは何歳なの?」と答えやすい質問からスタートし、わたしの話を聞き、気持ちを受け止めてくださいました。(とても感謝しています)
話が逸れますが、相談を受ける人の最初の一言ってとても重要ですよね。「どうかされましたか?」「なにか困っているのですか?」という質問だと、言葉に詰まってしまう相談者が多いと思います。初めての人を相手にいきなり自分の思い(しかも不甲斐ないと思ったり人に話しづらい内容)を話すのはハードルが高いです。
電話をかけるのだってやっと勇気をだして…という人が多いですよね。
なので、上記の方のように「お子さんは何歳なの?」と答えが1つしかなく・必ず答えられる質問をしてもらえるととても安心するんですよね…。その質問に答えると同時に緊張の糸が切れて、思いの丈を次から次に話すことができました。
自治体を通じて精神科の先生や発達心理学の先生に話を聞いてもらいました。その時にどちらの先生からも言われたことは
「お母さんの自己分析はその通りだと思う。」
「おっしゃる通り必要なのは精神科医ではなく話を聞いてもらうことで合うカウンセラーさんに出会えるのが一番」
「お子さん(長男)に対する分析も、考えている対処法も正しい」
「なんでもきちんとやらなくて大丈夫、部屋が散らかっていても問題ないよ。」
「一人でよく頑張ってるよ、ちゃんと自分のことも子どものことも分かってる。大丈夫。」
…大丈夫じゃないんです!!
自己分析も子どもの分析もたぶん合っていると思っていました!
でも!頭で分かっているのに出来ないのが苦しいんです!!
育児環境
わたしの育児環境をざっくり説明すると
◼︎実家は新幹線だけでも5時間の距離
◼︎義実家は近いが義両親ともにシフト週5勤務
◼︎夫とは仲が良く話もよくする
◼︎朝子どもを起こしてから寝かしつけをするまで保護者はわたし一人(下二人とは24時間一緒)
他にも同じタイミングで子育てをしている友人もいれば、子育て関係なく仲の良い友人もいます。悩んだ時に誰にも話せない…という状況ではありません。
それでも。
それでも病むんですよね…。
子どもはとーってもとーっても可愛くて愛しいのに、慢性的寝不足と授乳による体力不足、自分のための時間がほぼない状況、、、
自分でも「わたしってこんなに感情が抑えられない人間だったの?」「愛しいはずの子どもから離れたいと思うなんて…」と信じられない思いで落ち込みました。
虐待は対岸の火事ではない
だから…
昔は信じられないという思いで見ていた虐待のニュースも、内容によっては(特に「産後にワンオペ」で追い詰められたのかもしれないというものは)他人事じゃないな…と思うようになりました。
愛情だけではどうしようもない環境と状況があったのかもしれない…と思うようになりました。
命を奪ってしまったことは許されることではありません。
仕方がないと言えることでもありません。
でも、どこかに頼れたら、誰かが物理的に手を差し伸べることができたら、防げることができたのではないかと思うのです。
一線を越えずになんとか踏みとどまっている人・苦しんでいる人は数え切れないほどいると思います。
******
産後ケアは贅沢なことではない
産後ケアは必要不可欠
誰でも定時退社
男性も女性も育児休業取得
これらが当たり前の世の中に…
■応援クリックしていただけると嬉しいです■